世間はコロナの話題で持ちきりだけれど、俺は1度たりともマスクを付けてない。
これは「インフルなのに出社する馬鹿」のような根性自慢とかでは決してなくて、あくまで合理的に考えた上での選択なんだ。
最初にハッキリ言っておきたいのは、別にマスクを付けないからってコロナウイルスの脅威を分かっていないわけじゃない。症状の重さは知っているし、当然感染したくないからできることはするけれど、それでも対策におけるコストとリターンは意識した上で行動したい。
以下に理由を説明していくので、もし見落としなどあれば指摘してほしい。
目次
感染症に対する行動
まず前提として、感染症に対するアクションは「自分が感染しない」、「他人に伝染さない」の2つの目的に大きく分けられると思う。具体的にはこんな感じ。
「自分が感染しない」ための行動
・手洗い うがいの徹底
・人混みを避ける
・健康、空調管理
「他人に伝染さない」ための行動
・マスクをする
・隔離された空間に籠もる
ここで注目してほしいのは、マスクの着用目的はあくまで「他人に伝染さない」ためであり、自分自身への予防効果は医学の研究結果でも認められていない。これはコロナウイルスだけじゃなくて、風邪やインフルエンザのようなあらゆるものについて。だから自分が感染していないのであればマスクをつけても基本的には効果は無いってことになる。
でもちょっと不安になってしまうのは、症状は出ていないけどまだ潜伏期間なだけで、実際は既に感染してしまっているのでは?ってことだよね。だから一応マスクを付けておいてウイルス撒き散らさないようにするべきなんじゃって思うかもしれないけど、でも実はそれも必要ない。
コロナウイルスの感染経路
理解しておくべきは、コロナウイルスがどうやって人から人へ感染していくかだ。ここを把握しておかないと効果的な対策方法を取れない。
まだ調査中ではあるけれど、現時点でコロナウイルスの感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」の2つであると考えられてる。それぞれがどんな意味なのか超ざっくりと説明する。
「飛沫感染」
咳やくしゃみによるしぶき(飛沫)にウイルスが付着していて、これらを吸い込むことによって感染する。
「接触感染」
ウイルスの付着した飛沫やウイルスそのものに直接皮膚や粘膜が触れて感染する。
よくある誤解として、空気中をウイルスが漂っててそれを吸い込んで感染してしまう、というものがあるけど、これは「空気感染」と言って「飛沫感染」とは全く別物。コロナは空気感染しないから、駅の中にウイルスが蔓延していてヤバいみたいな心配はしなくていい。
ちなみに空気感染する病気は麻疹・水痘・結核の3つぐらいしかない。
マスクをすべきタイミング
つまり自分がウイルスを持っていたとしても、咳やくしゃみによって飛沫を飛ばしたりしない分には他人に伝染す危険性は無いってことになるわけで。ここまでくればもう気付いている人も多いと思うが、以上のことを踏まえるとマスクを付けるタイミングは「咳やくしゃみの症状が現れてからでいい」ってことになるんだよね。(そもそも外に出るなよって話だけど)
マスクを付ける、ということへのコスト
確かにただマスクを付けても大きな効果は得られないのは分かった。でもちょっとでも意味があるなら付けないよりマシなんじゃないの?というのが次の論点になるかと思うので、それについて話したい。
これはマスクに限った話ではなくありとあらゆる行動に言えることなんだけど、それに必要なコストと得られるリターン、つまり費用対効果はどんな事にも存在している。
例えばペットボトルの飲み物1本であっても、それを買うための費用や手間よりも飲むことのメリットが大きいから購入するわけで、意識的にしろ無意識にしろどんな行動でも必ずコストとリターンを天秤にかけて選択しているはずなんだ。
100円のコーラは買うけど、もし1000円だったら買わないはずで。それってコーラを飲むことに、お金に直すと少なくとも100円以上の価値を見出だせるけど、1000円の価値は無いだろうと見積もっているからってことだ。お金以外の面でもそうで、近くに自動販売機があればいいけど、1キロ先のスーパーでしか手に入らないなんて状況ならわざわざ買いに行かないだろう。まぁ当たり前な話。
ちなみにこの記事を書くのもそうで、文章として思考をアウトプットすることの練習がわざわざ時間をかけてでもやる意味があることだと思うからやってる。
病気への予防だって例外じゃない。
どんなに効果があっても、たかが風邪の予防のために病院へ通ったり高い薬を買ったりする人は少ないし、逆に命に関わるような重病であれば安い買い物だと思える。予防法・治療法だって、よりお金と手間がかからず、より効果が大きいものを選ぶはず。
マスクを付けることによるリターンがあるかどうかについてはさっき説明したけれど、コストは人によって変わってくるからここはみんな自分で考えてほしい。参考までに俺の場合はこう。
コスト①:お金と手間
コンビニ、スーパー、薬局。もはやどこに行ってもマスクは置いてないし、入荷を狙って行列ができる始末。こんな競争に参加したくはないし、かといってメルカリのプレミア価格で買うのも馬鹿らしい。
普段から買い込んでいたり入手のツテがある人ならこの部分のコストは無視できるけれど、俺はもともとマスク嫌いだから備蓄などない。
コスト②:装着感が煩わしい
単純に邪魔だから。 なんだか息苦しいし、食事や水分補給のためにいちいちズラしたり外したりするのも面倒。
コスト③:Face IDが効かなくなる
ぶっちゃけこれが最大のデメリット。
俺がメインで使っているスマートフォンはiPhone XS MAXだから、Face IDが使えなくなるのは致命傷。
iOSには「スクリーンタイム」っていうスマホを使った時間やアプリの内訳を自動で記録してくれる機能があるんだけど、その中のひとつにiPhoneを持ち上げた回数をカウントしているものがある。iPhoneのロック解除をする回数は持ち上げ回数とほとんど同じになるはずだから、この記録を見るに先週俺は平均して毎日80回以上ロック解除をしているってことになる。
家の中とかマスクを付けたりしない時間もあるから、仮にロック解除の半分をマスクで妨害されたとすると、毎日40回もパスワードを打ち込むかマスクをズラすかしないといけないってことになるわけで、これは相当なストレスになる。
リターン①:わずかではあるが予防効果
上でも話したとおりだけど、至近距離で咳やくしゃみを食らったり汚れた手で顔を触ったりすることに対する防衛策には一応なるっちゃなる。
リターン②:花粉対策
突然話が変わるが、実は花粉シーズンが近づいている(もう飛んでる?)のでこっちに対しての効果はあるかも。まぁ毎年つけてないんだけど。
リターン③:周囲へのアピール
マスクを付けていることで、「自分はコロナ対策を意識しているし、周りに移さないよう努力しています」ということを周囲に一発で主張できる。
これが馬鹿にならなくて、極端なことを言うと中には「マスクつけていない=病原菌野郎」と考えてしまう人もいるので、そういった人と無駄に衝突しなくて済む。
そうでなくとも皆ピリピリしているので、実際に影響があるかに関わらず周囲に安心感を与えるという意味で円滑な人間関係に貢献できる可能性がある。
【追記】補足:マスクの予防効果
マスクの効果について、「自分の咳で他人が感染するのは防げるのに、他人の咳で自分が感染してしまうのは何故?」という質問をもらったので回答しておく。
確かにもっともな疑問だと思う。
繰り返しにはなるが、コロナウイルスの感染経路は飛沫感染であるため、咳やくしゃみでウイルス付きのしぶきが飛んでいくかどうかが焦点になってくる。ウイルス単体で空気中を飛んでいくことはできないため、乗り物となるしぶきが飛ばなければ感染経路とはならないからだ。
まず自分の咳については、単純に自分のマスクに阻まれてしぶきは他人まで飛んでいかないので、ウイルス自体も他人には届かない。逆に他人の咳で他人のしぶきが自分に向かって飛んできた場合、自分のマスクにウイルスの乗ったしぶきが付着することになる。
ここで重要なのがウイルスの大きさだ。マスクの繊維の隙間が5マイクロメートルであるのに対し、ウイルスのサイズはわずか0.1マイクロメートルであるため、網をくぐるように簡単に通り抜けてしまう。
つまりマスクの外側に付着した他人のウイルスは容易にマスクの内側に入ってくるわけで、感染するリスクは防げない。
あと、マスクしてても眼球の粘膜から感染するルートもあるから、そういう意味でも予防効果は期待できないかな。
ちなみに話はそれるけど、花粉の粒子は30マイクロメートルと大きく(スギ花粉の場合)、マスクの隙間を通り抜けることができないから花粉症の予防には効果的ってわけ。
結論、やっぱりいらない
これはあくまで俺の場合だけど、マスクをすることで損をするのではと思えてしまった。
どこを重要視するかのウェイトは人によって大きく変わってくるし、既に入手している・Face IDを使わないなどでそのあたりが負担にならない人の場合はリターンが上回ってくることもあるかもしれない。
いずれにせよ、思考停止でマスクの行列に並ぶのではなく、自分にとって本当に得なのか、必要なのかを一度整理してみてほしい。不要な人が意味なくマスクを買い占めた結果、病人や医療関係者など本当に必要な人間に行き渡らなくなり、かえって自分の感染リスクを高めてしまうということになりかねない。
メリットとデメリットをしっかりと考えてみた上でそれでも、少しでも効果があるのなら自分は安全を取りたいと判断を下すのであれば、それは立派な決断である。堂々と胸を張ってマスクを付けてほしい。